抄訳
クリプトコックス症は,Cryptococcus neoformans species complex(CNSC)による侵襲性真菌感染症であり,Th1免疫応答による肉芽腫形成が感染制御に重要である.CNSCは初感染後に潜在性感染状態へ移行し,免疫制御が破綻すると再活性化すると考えられるが,その機序は十分解明されていない.本研究では,CNSCの主要T細胞抗原であるChitin deacetylase 2(Cda2)特異的CD4陽性T細胞受容体を発現するトランスジェニックマウス(CnT-Ⅱマウス)を用いて,肺肉芽腫形成を伴う新規潜在性クリプトコックス感染マウスモデルを構築した.本モデルに多発性硬化症治療薬であるFingolimod(FTY720)を投与したところ,肺内IFN-γおよびIL-12レベルの低下に伴い肉芽腫構造の破綻を認め,その後,肺内生真菌数が増加し,内因性再燃を示唆する変化を認めた.また,IFN-γ産生CD4陽性エフェクターメモリーT細胞(Tem)が著減していた.以上より,潜在性感染状態の維持にはCD4陽性Tem細胞が重要である可能性が示され,FTY720はCD4陽性Tem細胞の減少を介してTh1免疫応答を障害し,内因性再燃を促進すると考えられた.