抄訳
ヘッジホッグ(Hh)シグナルはSmoothened (SMO)-GLI及びSMO-RhoA経路等に伝達される。がん細胞内におけるHhシグナル活性化は、幹細胞の自己複製、腫瘍細胞の生存増殖、浸潤転移を促進する。がん微小環境おけるヘッジホッグシグナル活性化は、血管新生、線維化、免疫回避、がん疼痛等を惹起する。Hh経路に関連する遺伝子異常は、基底細胞がんや髄芽腫において高頻度に認められ、乳がん、大腸がん、胃がん、膵がんなどにおいても低頻度に認められる。基底細胞がん患者に対するHh経路阻害剤vismodegib或いはsonidegibの単独療法、並びに急性骨髄性白血病患者に対するHh経路阻害剤glasdegibの併用療法が、米国食品医薬品局 (FDA) により承認されている。Hh経路下流の遺伝子異常やWNT-β-catenin経路の活性化により、Hh経路阻害剤に対する治療抵抗性が誘導される。Hh経路阻害剤による腫瘍免疫賦活作用に着目して、vismodegibと免疫チェックポイント阻害剤pembrolizumabとの併用療法の治験が進行中である。