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2019/05/20

ヘッジホッグ経路関連がんのゲノム診断、腫瘍微小環境及び標的治療

論文タイトル
Genomic testing, tumor microenvironment and targeted therapy of Hedgehog-related human cancers
論文タイトル(訳)
ヘッジホッグ経路関連がんのゲノム診断、腫瘍微小環境及び標的治療
DOI
10.1042/CS20180845
ジャーナル名
Clinical Science
巻号
Vol.130 No.8 (953-970)
著者名(敬称略)
加藤 勝
所属
国立がん研究センター オミックスネットワーク部門

抄訳

ヘッジホッグ(Hh)シグナルはSmoothened (SMO)-GLI及びSMO-RhoA経路等に伝達される。がん細胞内におけるHhシグナル活性化は、幹細胞の自己複製、腫瘍細胞の生存増殖、浸潤転移を促進する。がん微小環境おけるヘッジホッグシグナル活性化は、血管新生、線維化、免疫回避、がん疼痛等を惹起する。Hh経路に関連する遺伝子異常は、基底細胞がんや髄芽腫において高頻度に認められ、乳がん、大腸がん、胃がん、膵がんなどにおいても低頻度に認められる。基底細胞がん患者に対するHh経路阻害剤vismodegib或いはsonidegibの単独療法、並びに急性骨髄性白血病患者に対するHh経路阻害剤glasdegibの併用療法が、米国食品医薬品局 (FDA) により承認されている。Hh経路下流の遺伝子異常やWNT-β-catenin経路の活性化により、Hh経路阻害剤に対する治療抵抗性が誘導される。Hh経路阻害剤による腫瘍免疫賦活作用に着目して、vismodegibと免疫チェックポイント阻害剤pembrolizumabとの併用療法の治験が進行中である。

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