抄訳
【目的】地域高齢者における乳製品摂取が将来の生活機能およびADL障害の発生に及ぼす影響を検討した。
【方法】生活機能とADLが自立した地域高齢者859人を7年間追跡した。生活機能は老研式活動能力指標、ADLはBarthel Indexで評価し、それぞれ1項目以上できない場合を障害ありとした。乳製品摂取量は、半定量式食物摂取頻度調査票を用いて算出し、残差法でエネルギー調整後4分位に分けて検討した。ポアソン回帰モデルを用いて相対危険を算出した。
【結果】生活機能障害の発生リスクは、乳製品摂取量の増加に伴い有意に低下した(傾向性P値=0.001)。乳製品摂取量の第1分位に対する第4分位の生活機能障害発生の相対危険(多変量調整後)は、0.74(95%信頼区間0.61-0.90)と有意に低かった。さらに乳製品摂取はADL障害の発生リスクとも有意な負の関連を認めた(傾向性P値=0.04)。一方で、これらの負の関連はたんぱく質摂取量をモデルに入れて調整すると減弱した。
【結論】地域高齢者において、乳製品の高摂取はおそらくたんぱく質摂取の増加を介して、将来の生活機能障害やADL障害の発生リスクの低下と関連する事が示唆された。