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2019/07/11

チオレドキシン様タンパク質2/2-シスペルオキシレドキシンのレドックスカスケードは葉緑体グルコース6リン酸脱水素酵素を酸化して活性化する

論文タイトル
Thioredoxin-like2/2-Cys peroxiredoxin redox cascade acts as oxidative activator of glucose-6-phosphate dehydrogenase in chloroplasts
論文タイトル(訳)
チオレドキシン様タンパク質2/2-シスペルオキシレドキシンのレドックスカスケードは葉緑体グルコース6リン酸脱水素酵素を酸化して活性化する
DOI
10.1042/BCJ20190242
ジャーナル名
Biochemical Journal
巻号
Vol. 476 No. 12 (1781-1790)
著者名(敬称略)
吉田 啓亮, 久堀 徹 他
所属
東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

抄訳

レドックス制御は、タンパク質分子を酸化または還元することによってその活性を調節する分子機構である。植物葉緑体では、この制御系が光環境の変化に呼応してダイナミックに働き、光合成をはじめとするさまざまな葉緑体機能のオン・オフを行っている。我々は、2018年にレドックス制御の最大の謎であった光合成系タンパク質を夜に酸化して不活性化する分子装置(チオレドキシン様蛋白質2/2-シスペルオキシレドキシン(TrxL2/2CP)経路)を同定した。本研究では、このTrxL2/2CP経路の重要性に関する理解をさらに深めるために、この経路によって制御される標的タンパク質を探索した。グルコース6リン酸脱水素酵素(G6PDH)は、夜間のエネルギー供給に重要な酸化的ペントースリン酸経路の最初の反応を触媒する酵素である。生化学的な解析により、G6PDHはTrxL2/2CP経路に依存して酸化され、この酸化に伴って酵素活性が上昇することが明らかになった。この結果は、TrxL2/2CP経路が光合成機能の抑制と酸化的ペントースリン酸経路の促進というふたつの役割を果たすことによって、葉緑体代謝モードを昼型から夜型に切り替えていることを示している。

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