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2019/09/04

両側性アルドステロン症において非機能性と診断される副腎腫瘍からも微量のコルチゾール自律分泌があり予後に影響する

論文タイトル
Latent Autonomous Cortisol Secretion From Apparently Nonfunctioning Adrenal Tumor in Nonlateralized Hyperaldosteronism
論文タイトル(訳)
両側性アルドステロン症において非機能性と診断される副腎腫瘍からも微量のコルチゾール自律分泌があり予後に影響する
DOI
10.1210/jc.2018-02790
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Vol.104 No.10 (4382–4389)
著者名(敬称略)
大野 洋一, 曽根 正勝 他
所属
京都大学医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科

抄訳

本研究では原発性アルドステロン症(PA)において非機能性と診断された副腎腫瘍がPA患者に与える影響を検討した。日本全国29施設共同で作成したPA患者データベース(JPAS)の内、副腎静脈サンプリングで両側性と診断された527例を、診断基準上非機能性の副腎腫瘍がある群とない群に分け、両群の患者背景とホルモン値の比較を行った。すると、腫瘍あり群はなし群と比べ、糖尿病及び蛋白尿の有病率が有意に高く、年齢、性別といった患者背景を調整した上でも、1mgデキサメサゾン抑制試験(DST)後コルチゾール値が有意に高かった。さらに腫瘍サイズは1mgDST後コルチゾール値と有意な正相関を認めた。これまで1mgDSTでコルチゾール値1.8 µg/dL以下に抑制される副腎腫瘍は非機能性と考えられていたが、本研究によって、コルチゾール自律産生能がないと診断された副腎腫瘍であっても、微量なコルチゾール産生能が存在し、糖尿病や蛋白尿を引き起こす可能性が示唆された。

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