抄訳
リアルワールドデータを用い、糖尿病の有無別に、冠動脈疾患のリスク因子(血圧、LDLコレステロール、HbA1c、喫煙)の管理目標の達成状況、および管理目標の達成状況とその後の冠動脈疾患発症の関連を検討した。対象は日本全国からなる220,894名。健診結果とレセプトデータを用いて、血圧、HbA1c、LDLコレステロール、喫煙の管理目標の達成状況と冠動脈疾患発症の関連を検討した。糖尿病・非糖尿病群ともに、2つ管理目標を達成していた対象の割合が最も多かった(39.6%、36.4%)。糖尿病の有無に関わらず、管理目標を2つ達成している群と比較して、1つ達成している群、いずれも達成していなかった群では、冠動脈疾患発症リスクがそれぞれ2倍、4倍上昇した。管理目標を2つ達成した非糖尿病群と比較して、血圧、HbA1c、LDLコレステロール、喫煙のいずれの管理目標も達成していなかった糖尿病群では冠動脈疾患発症リスクが約9.4倍上昇していたが、一方で、4つ全ての管理目標を達成することで、冠動脈発症リスクは同程度まで低下していた。糖尿病の有無に関わらず、修正可能なリスク因子の管理目標を達成することは冠動脈疾患発症の抑制に有用な可能性があり、糖尿病患者で4つ全ての管理目標を達成することで、非糖尿患者で2つ管理目標を達成している群と同等までリスクが低下する可能性あることが示唆された。