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2019/10/18

4-amino-2-sulfanylbenzoic acidはサブクラスB3メタロ-β-ラクタマーゼ特異的阻害剤であり、メタロ-β-ラクタマーゼのサブクラス識別を可能とする

論文タイトル
4-Amino-2-Sulfanylbenzoic Acid as a Potent Subclass B3 Metallo-β-Lactamase-Specific Inhibitor Applicable for Distinguishing Metallo-β-Lactamase Subclasses
論文タイトル(訳)
4-amino-2-sulfanylbenzoic acidはサブクラスB3メタロ-β-ラクタマーゼ特異的阻害剤であり、メタロ-β-ラクタマーゼのサブクラス識別を可能とする
DOI
10.1128/AAC.01197-19
ジャーナル名
Antimicrobial Agents and Chemotherapy
巻号
Antimicrobial Agents and Chemotherapy Volume 63, Issue 10
著者名(敬称略)
和知野 純一、荒川 宜親 他
所属
名古屋大学大学院医学系研究科 分子病原細菌学

抄訳

近年、「最後の切り札」とされるカルバペネム系薬に耐性を獲得した病原細菌の蔓延が問題となっている。病原細菌における主要なカルバペネム耐性機構は、カルバペネム系薬を分解するmetallo-β-lactamase(MBL)の産生である。著者らは、4-amino-2-sulfanylbenzoic acid (以下ASB)がMBLの1つであるSMB-1を強く阻害することを見出した。ASBはチメロサール(ワクチンの防腐剤の一種)の代謝物であるチオサリチル酸を基に改良された化合物である。著者らは、ASBがカルボキシル基とチオール基を介し、MBLの活性中心にある2つの亜鉛イオンに結合することをX線結晶構造解析によりあきらかにした。また、ASBはMBLの中でもサブクラスB3に属するMBLを特異的に阻害することがわかった。これらの結果から、ASBの特異性を利用し、MBLのサブクラス識別が可能であると考えられた。さらに、マウス全身感染モデルを用いた実験結果から、メロペネムなどのカルバペネム系薬とASBの併用が、MBL産生菌による感染症の治療に有用である可能性が示唆された。

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