抄訳
Comamonas testosteroni TA441 は、ステロイド化合物のA,B環をA環の芳香環化を経て開裂し、生成した9,17-dioxo-1,2,3,4,10,19-hexanorandrostan-5-oic acidを主にβ酸化により完全分解する。本研究では、ScdE (3-hydroxylacyl CoA-dehydrogenase)及びScdF (3-ketoacyl-CoA transferase)をコードする遺伝子の単離、解析により、CD環開裂に必須な、B環由来側鎖のβ酸化サイクルによる分解全体を明らかとした。ステロイド分解遺伝子はクラスターを形成しており、β酸化に関わる遺伝子群に類似の遺伝子群は、Mycobacterium tuberculosis H37Rv等、多くの細菌に見いだされる。これらクラスターの構造の違いが、細菌のステロイド分解遺伝子群の進化の解明の手がかりとなる可能性も考えられる。