抄訳
Klebsiella pneumoniae(Kp)の一部は莢膜の過剰産生や細菌細胞の鉄取り込みと関連する病原遺伝子を保有する高病原性株(hvKp)であり、市中発症の重症感染症と関連していることが主に東アジア諸国から報告されている。
今回、日本全国23医療機関におけるKp血流感染症140例の起因菌株の全ゲノム解析結果と臨床情報を対比した。140例のうち26例(18.6%)がhvKpであり、hvKp感染症は肺炎、肝膿瘍、播種性感染症の頻度が有意に高かった(単変量解析)。さらに、他国の報告とは異なり、hvKp血流感染症の半数以上は医療関連あるいは院内感染症として発症しており、院内伝播を背景としたと推測される症例も認められた。hvKpのクローンは多様であり、K1-ST23、K2-ST86などのよく知られたものとともに、K57-ST218, K62-ST36などのこれまではあまり認識されていなかったものも認められた。