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2019/11/15

GATA2とPU.1は異なる分子機序によってマウス高親和性IgE受容体ベータサブユニット遺伝子(Ms4a2)の発現を制御する

論文タイトル
GATA2 and PU.1 Collaborate To Activate the Expression of the Mouse Ms4a2 Gene, Encoding FcεRIβ, through Distinct Mechanisms
論文タイトル(訳)
GATA2とPU.1は異なる分子機序によってマウス高親和性IgE受容体ベータサブユニット遺伝子(Ms4a2)の発現を制御する
DOI
10.1128/MCB.00314-19
ジャーナル名
Molecular and Cellular Biology
巻号
Molecular and Cellular Biology  Volume 39, Issue 22
著者名(敬称略)
大森 慎也、大根田 絹子 他
所属
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 人材育成部門 ゲノム予防医学分野

抄訳

造血系転写因子GATA2とPU.1は、マウス骨髄由来マスト細胞(BMMCs)において、ともに高親和性IgE受容体ベータ鎖(Ms4a2)の遺伝子発現を正に制御する。本研究ではその分子機序を解明するため、薬剤誘導性ノックアウトまたはsiRNA導入によって、BMMCsでのGATA2またはPU.1の欠失効果を比較した。その結果、両者は欠失によりほぼ同程度にMs4a2の発現量を低下させたが、両者の同時欠失による相乗的/相加的な効果は観察されなかった。クロマチン免疫沈降では、Ms4a2 +10.4 kbp領域にGATA2、PU.1とクロマチンループ因子LDB1が結合し、転写開始点付近(-60 bp)にはGATA2のみが結合していた。これらのGATA2の結合はPU.1の欠失により低下した。さらにゲノム編集によって+10.4 kbp領域を除去するとMs4a2の発現は完全に失われ、マスト細胞表面の高親和性IgE受容体の発現も消失した。以上の結果から、+10.4 kbp領域はMs4a2の発現に必須のシス領域であることが示された。また、GATA2はMs4a2プロモーターを活性化し、PU.1とLDB1はループ形成などクロマチン高次構造の形成と維持に関与することが示唆され、両者の分子機能は異なっていると考えられた。

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