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2019/11/25

日本人集団におけるビタミン摂取量,ABCA1遺伝子のDNAメチル化率,脂質指標との関連

論文タイトル
Associations between dietary vitamin intake, ABCA1 gene promoter DNA methylation, and lipid profiles in a Japanese population
論文タイトル(訳)
日本人集団におけるビタミン摂取量,ABCA1遺伝子のDNAメチル化率,脂質指標との関連
DOI
10.1093/ajcn/nqz181
ジャーナル名
American Journal of Clinical Nutrition
巻号
American Journal of Clinical Nutrition Vol.110 Issue 5
著者名(敬称略)
藤井 亮輔、鈴木 康司 他
所属
藤田医科大学 医療科学部 臨床検査学科

抄訳

 本研究では、HDLコレステロールの生成に重要な役割を果たしているATP-binding cassette protein A1(ABCA1)という分子に注目した。近年の研究によって、ABCA1遺伝子のDNAのメチル化によって血清HDLコレステロール値が低下し、循環器疾患を発症していることは明らかになっていた。その一方で、どのような生活習慣によってABCA1のDNAメチル化が変化するか、はそれほど明らかになっていなかった。  そこで、ABCA1 DNAメチル化を変化させる生活習慣として、野菜の摂取とりわけビタミン摂取量に着目した。これらの摂取量とABCA1 DNAメチル化率との関連、さらにそれを介したHDLコレステロール値との関連を約230名の日本人集団を対象として媒介分析によって検討した。その結果、ビタミンCの摂取量が多い人は、ABCA1 DNAメチル化低値を介して、血清HDLコレステロール値が有意に高いということが明らかになった。今回の研究成果は、ビタミンCの循環器疾患に対する予防的な効果をABCA1のDNAメチル化が媒介している可能性を示唆するものであり、一般的な日本人集団においての循環器疾患予防について新たな分子メカニズムとなり得ると考えている。

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