抄訳
細菌プラスミドの接合伝達は、プラスミド支配で供与菌細胞表層に構築される4型分泌装置(T4SS)を介して起きる。ただ、接合特異的T4SS形成に必須な最小遺伝子セットが実験的に提示されたプラスミドは数例に限定される。我々は、ナフタレン分解プラスミドNAH7の接合伝達に、T4SS形成のいわゆる最小遺伝子セットに加え、未解析だったmpfKの必須性を見出した。MpfKはペリプラズムに局在し、MpfK内のシステイン残基間ジスルフィド結合がプラスミドの効率的伝達に必要だった。mpfKホモログは多様な不和合性群由来のプラスミド上に存在するものの、いずれのプラスミドともMPFT型のT4SSを有していた。当該プラスミドのうち、NAH7と同一のIncP-9群pWW0のmpfKホモログは自身の接合伝達に必要だったが、他不和合性群のR388やR751のホモログは各々の接合伝達に不必要だった。一方で、後3者のmpfKホモログはいずれもNAH7 mpfK変異体の接合伝達欠損を相補可能という特色があった。