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日本人論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2020/01/22

多剤薬剤耐性を示し薬剤排泄トランスポーターの高発現を認めた橋本病の1症例

論文タイトル
A Case of Hashimoto’s Thyroiditis with Multiple Drug Resistance and High Expression of Efflux Transporters
論文タイトル(訳)
多剤薬剤耐性を示し薬剤排泄トランスポーターの高発現を認めた橋本病の1症例
DOI
10.1210/clinem/dgz073
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Vol.105 No.2 (dgz073)
著者名(敬称略)
吉田 知彦, 田中 知明
所属
千葉大学大学院医学研究院・分子病態解析学講座

抄訳

【背景】甲状腺機能低下を伴う橋本病患者では通常、合成甲状腺ホルモン(レボチロキシン)の経口投与で甲状腺機能が正常化されるが、一部の患者で効果が得られない場合があり、その原因は不明である。一方、癌や感染症の治療における薬剤耐性機構に薬剤排泄に機能するABCトランスポーターが関わることが知られている。今回、レボチロキシン補充療法に重度の治療抵抗性を示す橋本病患者を経験した。そのメカニズムに小腸におけるABCトランスポーター高発現が関与することを明らかにした。
【症例】本症例は橋本病、特発性血小板減少性紫斑病、難治性高血圧を合併し、様々な経口薬剤の高用量投与にもかかわらず薬理効果が十分に得られない状態が続いていた。患者リンパ球を用いた解析では、健常者に比べてABCG2/BCRPの発現亢進と薬剤排泄能の亢進を認めた。そして、その特徴はABCG2/BCRPの特異的阻害薬Fumitremorgin Cによって阻害された。小腸上皮におけるこれらの薬剤排泄トランスポータの発現亢進も認めた。更に、レボチロキシン・降圧薬ロサルタンの粉砕投与後には、薬剤耐性の改善を認めた(血中TSH値と平均血圧の低下効果)。
【結語】薬剤耐性を示す橋本病患者の病態において、小腸でのABCG2/BCRPの高発現ならびに機能亢進が関与し、薬剤の粉砕投与が有効である可能性が示唆された。

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