本文へスキップします。

H1

日本人論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2020/03/27

小腸内分泌L細胞株におけるアミノ酸受容体を介したグルタミン誘導性シグナル経路

論文タイトル
Glutamine-induced signaling pathways via amino acid receptors in enteroendocrine L cell lines
論文タイトル(訳)
小腸内分泌L細胞株におけるアミノ酸受容体を介したグルタミン誘導性シグナル経路
DOI
10.1530/JME-19-0260
ジャーナル名
Journal of Molecular Endocrinology
巻号
Vol.64 No.3 (133–143)
著者名(敬称略)
中村 匠, 原田 一貴, 神谷泰智, 坪井 貴司 他
所属
東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系

抄訳

 小腸内分泌L細胞から分泌されるグルカゴン様ペプチド1(Glucagon-like peptide-1: GLP-1)は、膵β細胞からのグルコース依存的に起こるインスリン分泌を増強し、グルコース代謝の重要な役割を担う。GLP-1分泌は、消化管管腔内のグルコースや脂質、そしてアミノ酸などの栄養素により誘導される。この分泌には、細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)とcAMP濃度([cAMP]i)上昇が重要であるが、アミノ酸によるGLP-1分泌制御機構は不明である。
 本研究では、マウス小腸内分泌L細胞由来GLUTag細胞株内での、L-グルタミンによる[Ca2+]iと[cAMP]i上昇機構について解析した。細胞外Na+濃度を低下させ、ナトリウム依存性グルコース輸送体の機能を阻害したところ、L-グルタミン投与による[Ca2+]i上昇は観察されなかった。一方、taste receptor type 1 member 3(TAS1R3)の阻害剤投与は、L-グルタミンによる[cAMP]i上昇を抑制した。CRISPR/Cas9を用いて、TAS1R3と、それとヘテロ二量体を形成するTAS1R1の変異GLUTag細胞株を樹立した。TAS1R1変異GLUTag細胞株は、L-グルタミンによる[cAMP]i上昇を示した。一方、一部のTAS1R3変異GLUTag細胞株では、[cAMP]i上昇やGLP-1分泌を示さなかった。これらの結果は、TAS1R3が、既知の経路とは異なる形で、L-グルタミンによる[cAMP]i上昇とGLP-1分泌に重要な役割を担っていることを示唆している。

論文掲載ページへ