抄訳
深在性真菌症、とくにアスペルギルス症は増加傾向にある。本症は極めて重篤で致死率も高く、医療上の問題となっている。主要な原因菌はAspergillus fumigatusであり、治療の第一選択薬はアゾール系抗真菌薬である。一方、近年アゾール耐性A. fumigatusの増加が世界的に深刻化している。耐性の主要なメカニズムは、アゾール標的分子Cyp51Aのhot spotアミノ酸変異による薬物親和性の低下であると考えられている。この研究では、2本鎖DNA内のミスマッチ箇所を特異的に切断するendonuclease であるSurveyor Nucleaseを用い、cyp51Aの変異検出方法の開発を試みた。cyp51Aに点変異を有するアゾール耐性株(変異株)17株と同遺伝子に変異を持たないアゾール感性株(野生株)31株とを使用して、検出法の性能を検証した。Surveyor Nuclease assayによって、cyp51A変異株と野生株とは明確に区別可能で、単一のプライマーセットで複数の変異を検出できた。Surveyor Nuclease assayは、cyp51Aの変異を簡便迅速に検出でき、アスペルギルス症の適切な治療薬の選択に寄与しうる検査法である。