抄訳
静脈グラフト(移植片)は、虚血性疾患の血行再建手術における自家血管グラフトとして一般的に使用されていますが、静脈に対する動脈圧負荷による内膜肥厚のため、長期開存性は依然として低いままです。本プロトコルは、ウサギ頚静脈を同側頚動脈に移植することにより、実験的に静脈内膜肥厚を再現するものです。このプロトコルは体表・皮下脂肪層までの深さの外科的処置のみで完結でき、切開の範囲も限られているため、動物にとって侵襲が低く、移植後の長期観察が可能です。このプロトコルにより、研究者は移植された静脈グラフトの内膜肥厚の進行を抑制する方法に関する研究を行うことができます。例えばこのプロトコルを使用して、我々はこれまでに、血管平滑筋細胞の表現型を増殖型から分化型(非増殖型)に制御することが知られているmicroRNA-145による静脈グラフトの内膜肥厚抑制効果を示すことが出来ました。