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2020/07/06

膵神経内分泌腫瘍において、オートファジー阻害剤クロロキンは小胞体ストレスを介してアポトーシスを誘導する

論文タイトル
Chloroquine induces apoptosis in pancreatic neuroendocrine neoplasms via endoplasmic reticulum stress
論文タイトル(訳)
膵神経内分泌腫瘍において、オートファジー阻害剤クロロキンは小胞体ストレスを介してアポトーシスを誘導する
DOI
10.1530/ERC-20-0028
ジャーナル名
Endocrine-Related Cancer
巻号
Endocrine-Related Cancer Vol.27 No.7 (431–439)
著者名(敬称略)
仲野 健三, 増井 俊彦 他
所属
京都大学肝胆膵・移植外科/小児外科

抄訳

オートファジー阻害剤のクロロキン(CQ)が神経内分泌細胞株の増殖を抑制する報告はあるが、そのメカニズムと高分化膵神経内分泌腫瘍に対する効果は明らかとなっていない。本研究では低分化、高分化膵神経内分泌腫瘍(PanNEN)におけるCQの増殖抑制メカニズムを検討した。PanNEN細胞株のMIN6, QGP-1にCQを投与するとアポトーシスが誘導された。電子顕微鏡画像で小胞体の拡張を認め、小胞体ストレス応答の主要経路であるPERK-eIF2α-ATF4経路のATF4、その下流のCHOPの発現亢進を認め、この経路を介したアポトーシスが示唆された。MIN6, QGP-1は遺伝子変異を伴う低分化神経内分泌癌株であることから、高分化PanNENにおける効果を検討するため、Men1+/ΔN3-8マウスにCQの誘導体であるヒドロキシクロロキン(HCQ)を投与したところ、腫瘍の縮小効果を認めた。HCQ投与群の腫瘍部ではCHOP陽性細胞が大部分を占め、アポトーシスが誘導されていた。これらの結果から、CQ/HCQは低分化および高分化のPanNENいずれにおいて小胞体ストレスを介したアポトーシスを誘導し、有効な治療法となる可能性が示唆された。

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