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2020/08/24

アポトーシスのブレブにおける形質膜と細胞質の協調的な変化

論文タイトル
Coordinated changes in cell membrane and cytoplasm during maturation of apoptotic bleb
論文タイトル(訳)
アポトーシスのブレブにおける形質膜と細胞質の協調的な変化
DOI
10.1091/mbc.E19-12-0691
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell
巻号
Molecular Biology of the Cell Volume 31, Issue 8(725–857)
著者名(敬称略)
青木 佳南, 池ノ内 順一 他
所属
九州大学理学部生物学科情報生物学講座 代謝生理学

抄訳

 ブレブは、一時的にアクチン細胞骨格による裏打ちが失われた形質膜の球状突起構造でありアポトーシスを起こした細胞で活発に形成されることが知られる。私たちは近年、癌細胞の遊走過程に形成されるブレブの分子機構を明らかにした(Aoki et al. PNAS 2016)。アポトーシスの初期には小型のアポトーシスが多数形成されるが、次第に大型化する。最終的には、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)などの炎症の制御に関わる分子がブレブの内部に集積し、効率良くブレブが免疫細胞に取り込まれることで、周辺の免疫細胞の応答性を修飾する役割を担う。本研究では、細胞遊走の際に形成されるブレブとアポトーシス時のブレブの分子機構の共通性と相違点の解明に取り組んだ。研究の結果、両者の基本的なブレブの形成・退縮の分子機構は共通しているが、カスパーゼによって切断を受け活性化する2つのタンパク質ROCK1キナーゼと脂質スクランブラーゼXkr8の活性の変化によって、アポトーシスに特徴的なブレブの経時的なダイナミクスの変化が引き起こされることが明らかになった。

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