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2020/08/28

べん毛形成の開始点であるMSリングのビブリオ属における構築メカニズムの解明

論文タイトル
Assembly Mechanism of a Supramolecular MS-Ring Complex To Initiate Bacterial Flagellar Biogenesis in Vibrio Species
論文タイトル(訳)
べん毛形成の開始点であるMSリングのビブリオ属における構築メカニズムの解明
DOI
10.1128/JB.00236-20
ジャーナル名
Journal of Bacteriology
巻号
Journal of Bacteriology Volume 202, Issue 16
著者名(敬称略)
寺島 浩行、平野圭一、本間道夫 他
所属
名古屋大学大学院理学研究科 生命理学専攻 生体膜機能グループ

抄訳

細菌べん毛は、細菌の持つ運動器官であり、回転モーターとして機能する。細菌べん毛の構築は、細胞質膜上のMSリングの形成によって開始される。MSリングは、2回膜貫通型タンパク質FliFが数十個集合して構成される。べん毛の本数や形成位置は、ビブリオ属菌ではFlhFとFlhGによって制御されている。しかしながら、ビブリオ属菌におけるMSリングの形成を開始する因子や、MSリング形成におけるFlhFの関与については明らかにされていない。本研究において、我々は、FlhFがビブリオ属菌のMSリング形成を促進することを示した。大腸菌内でビブリオFliFを単独で発現させた場合、MSリング形成はほとんど起こらなかった。一方で、FlhFとの共発現によってMSリングが効率的に形成された。また、FlhF がFliFを細胞極に局在させることが明らかとなった。興味深いことに、FlhF以外にも、MSリングでCリングを形成するFliGとの共発現によってもMSリングの形成が促進された。一連の結果は、FlhF、FliGがFliFの適切な空間的/時間的制御を行い、MSリング形成及び最終的にはべん毛形成を制御していることを示唆している。

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