抄訳
終末糖化産物(AGE)は様々な慢性疾患の発症に関与すると考えられているが、食品中のAGEの健康影響については未だ不明である。そこで本研究は、主要なAGEであるNε-カルボキシメチルリジン(CML)の一般成人における食事からの摂取量を推定し、全死亡、死因別死亡リスクとの関連を評価した。CML摂取量の推定は、LC-MS測定による食品中CML含有量データベースを用いた。対象者は、高山スタディ参加者、35歳以上の男性13,355名、女性15,724名で、1992年に自記式の調査票に回答を得た。CML摂取を含む食習慣の評価はこのベースライン時の食物摂頻度調査票による。16年の追跡期間中に男性2,901名、女性2,438名の死亡が認められた。男性ではCML高摂取群(上位1/4)は低摂取群(下位1/4)に比べ、全死亡リスクは、ハザード比0.89 (95% CI 0.79-1.00, P-trend = 0.047)と低下していた。女性では、層化因子により、CML摂取と死亡リスクは、正負ともに関連性が認められた。本研究の日本人成人における結果は、CML摂取による死亡リスク上昇を支持するものではなかった。