抄訳
食物アレルギーの発症は、腸内細菌叢の構成変化に伴う粘膜免疫系の破綻が原因の一つと考えられている。我々は、食物アレルギーモデルマウスの糞便中で最も多かったCitrobacter属細菌が、腸管上皮細胞のIL-33発現を誘導してアレルギーを増悪させることを既に報告した。本研究では、Citrobacter属細菌の樹状細胞におけるIL-33産生誘導について検討した。C. koseriJCM1658の生菌は、マウス樹状細胞株DC2.4においてIL-33発現を他の腸内細菌より強く誘導したが、抽出したLPSはToll-like receptor 4シグナルを介して発現を抑制した。さらに、他の腸内細菌より多く産生されたATPがP2X7レセプターを介してIL-33発現を誘導していた。以上のことから、C. koseriは、多量のATPを産生してIL-33発現を誘導することでアレルギー症状を増悪するが、そのLPSは症状を抑えている可能性が示された。