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2021/02/05

マストミスは脳心筋炎ウイルスの潜在的なレゼルボアである

論文タイトル
Mastomys natalensis is a possible natural rodent reservoir for encephalomyocarditis virus
論文タイトル(訳)
マストミスは脳心筋炎ウイルスの潜在的なレゼルボアである
DOI
10.1099/jgv.0.001564
ジャーナル名
Journal of General Virology
巻号
Journal of General Virology First Published: 03 February 2021
著者名(敬称略)
岸本 麻衣、佐々木 道仁 他
所属
北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター 分子病態・診断部門

抄訳

脳心筋炎ウイルス(Encephalomyocarditis virus: EMCV)は、様々な種類の哺乳類動物に感染し、脳炎、心筋炎等の症状を引き起こす。とりわけ、養豚業や野生動物保護区においてEMCV感染による被害が問題となる。ヒトは感染動物との接触を通して感染することがあり、多くは無症状であるものの、稀に熱性疾患を呈する。我々は、ザンビアで採取した野生のげっ歯類動物マストミス(M. natalensis)からEMCVを分離し、ZM12/14株と命名した。ザンビアの野生げっ歯類動物179匹から採集した材料を用いてEMCVの感染状況を調査したところ、ウイルスゲノム陽性率は10.6%、中和抗体陽性率は18.4%であった。ゲノムおよび抗体陽性個体は全てマストミスであった。興味深いことに、高い中和抗体価を示した個体からもウイルスゲノムが検出された。以上の結果から、マストミスはEMCVの潜在的なレゼルボアであると考えられる。本研究は、数少ないアフリカにおけるEMCVの疫学研究であり、ザンビアにおいてEMCV感染が発生するリスクを明らかにしたものである。

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