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2021/02/08

抗CD14抗体による可溶性CD14の安定化は、攪拌による血液成分検体中のプレセプシン値の増加を抑制する

論文タイトル
Antibody-mediated soluble CD14 stabilization prevents agitation-induced increases in presepsin levels in blood component specimens
論文タイトル(訳)
抗CD14抗体による可溶性CD14の安定化は、攪拌による血液成分検体中のプレセプシン値の増加を抑制する
DOI
10.2144/btn-2020-0136
ジャーナル名
BioTechniques
巻号
BioTechniques, Published Online:29 Jan 2021
著者名(敬称略)
森野 豪太、高橋 学 他
所属
岩手医科大学 救急・災害・総合医学講座 岩手県高度救命救急センター

抄訳

【目的】プレセプシンは新規感染症マーカーであり、日本国内で保険収載されています。最近攪拌によりプレセプシンが上昇するとする報告が散見されます。ただし、そのメカニズムは解明されていません。本研究では、振盪によるプレセプシン増加のメカニズムを明らかにすることを目的としました。
【方法】攪拌前と攪拌後のヒト血漿または血清検体をゲル濾過クロマトグラフィーを使用して分離し、ELISAによって分析しました。
【結果】攪拌した検体において、変性した可溶性CD14(以下sCD14)と変性sCD14の凝集と考えられた2つのピークを認め、sCD14自体は減少していることが確認されました。また攪拌後に検体に抗CD14抗体(F1024-1-3)を添加し、その検体をウェスタンブロックにて解析したところ、抗体を添加した検体では、変性したと考えられたsCD14は殆ど消失しました。また攪拌前に検体にF1024-1-3を添加すると凝集と考えられるピークは認められませんでした。
【結語】検体を攪拌すると、sCD14の変性や変性したsCD14の凝集が生じ、誤ってプレセプシンと測定されることによりプレセプシン値が上昇する可能性が示唆されました。抗CD14抗体であるF1024-1-3はsCD14の変性や変性したsCD14の凝集を抑制することにより、攪拌によるプレセプシンの増加を抑制できると考えられました。

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