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2021/04/28

蛍光相関分光法 (FCS)を用いたタンパク質凝集体の検出

論文タイトル
Detection of Protein Aggregation using Fluorescence Correlation Spectroscopy
論文タイトル(訳)
蛍光相関分光法 (FCS)を用いたタンパク質凝集体の検出
DOI
10.3791/62576
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (170), e62576, doi:10.3791/62576 (2021)
著者名(敬称略)
北村 朗 他
所属
北海道大学 大学院先端生命科学研究院 細胞機能科学研究室

抄訳

タンパク質の凝集体は,筋萎縮性側索硬化症(ALS),アルツハイマー病(AD),パーキンソン病(PD),ハンチントン病(HD)など神経変性疾患における特徴である.可溶性あるいは拡散性のタンパク質のオリゴマーや凝集体を検出・解析するために,単一分子感度を有し,拡散速度や一粒子輝度を検出できる蛍光相関分光法(FCS)が用いられてきた.しかしながら,FCSを用いてタンパク質の凝集体を検出するための適切な手順やノウハウは,依然広く共有されているとは言えない.ここでは,凝集タンパク質であるALS関連TDP-43タンパク質の25kDa C末端断片 (TDP25) とスーパーオキシドディスムターゼ1 (SOD1) の拡散特性を,細胞破砕液,または生細胞中で解析するための標準的なFCS法の手順を示す.典型的な結果として,マウス神経芽細胞腫Neuro2a細胞で発現させた緑色蛍光タンパク質(GFP)標識TDP25の凝集体由来の高輝度粒子が,細胞破砕液の可溶性画分に含まれていた.また,GFPで標識したALSに関連変異型SOD1を生細胞内で測定すると遅い拡散速度を示した.このように本論では,FCSを用いてタンパク質凝集体をその拡散特性から検出する手順を紹介する.

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