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2021/05/20

妊娠ヒツジ栄養膜細胞と子宮上皮の密着部位におけるフィブリン形成

論文タイトル
Formation of fibrin at sights of conceptus adhesion in the ewe
論文タイトル(訳)
妊娠ヒツジ栄養膜細胞と子宮上皮の密着部位におけるフィブリン形成
DOI
10.1530/REP-20-0531
ジャーナル名
Reproduction
巻号
Reproduction Volume 161 Issue 6 (709–720)
著者名(敬称略)
松野 雄太, 今川 和彦 他
所属
東海大学 総合農学研究所

抄訳

哺乳類の妊娠には着床が必須である。着床には胚・栄養膜細胞の子宮上皮への接着とそれに続く密着が必要であり、様々な分子が関与している。しかし、その接着や密着を維持する分子は十分に明らかにされていない。本研究では、ヒツジの胚・栄養膜細胞が分泌するタンパク質において,接着や密着を維持する新たな候補を同定することを目的とした。
着床期の妊娠ヒツジから採取した胚・栄養膜細胞と子宮内膜のRNAシークエンス(RNA-seq)解析と、子宮灌流液のiTRAQ解析を実施した。mRNA発現とタンパク質発現の網羅的解析によって、胚・栄養膜細胞から分泌されるタンパク質を同定し、凝固(coagulation cascade)の遺伝子オントロジーに関連するタンパク質に富むことを明らかにした。また、胚・栄養膜細胞における凝固因子、フィブリノーゲン、線溶因子の転写産物の発現量は、接着前や接着直後に比べて密着後で有意に高く、in situ hybridization法、ウェスタンブロット法、免疫組織化学染色法による解析でも支持された。さらに、胚・栄養膜細胞と子宮上皮の密着部位にフィブリンが形成されることを明らかにした。
本研究によって、フィブリン形成が胚・栄養膜細胞と子宮上皮の密着を維持する新たな候補であることが示された。

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