抄訳
18F-FDG-PET (PET) 集積で発見される良性副腎皮質腺腫が増えている。我々はその特徴を明らかにする目的で、PET を施行したコルチゾール産生腫瘍 30例 (26例の副腎腺腫と4例の副腎皮質癌)の臨床病理学的解析および遺伝子学的解析を行った。その結果、良性副腎皮質腺腫でも 65%と比較的高率にPET集積を認め、PET集積が高い症例は肉眼的に黒色調のblack adenomaが多く含まれていた。Black adenomaは脂肪成分が少ないため、PET集積を認める副腎皮質腺腫は、CT値が高く、MRIではT1・T2強調画像ともに高信号、opposed phaseで信号低下を認めず、131I-アドステロールシンチでは集積が減弱していた。Black adenomaの細胞内には障害を受けたミトコンドリアが豊富で、摘出副腎組織のRNA sequenceではLysosome pathwayやAutophagy pathwayに加えて、18F -FDGの取り込みに関与するGLUT 1.3を含むglycolysis pathwayをはじめとしたmetabolic pathwayが増加していた。PET集積を認める脂肪成分含有の少ない副腎腫瘍はBlack adenomaも念頭におき総合的な診断・治療決定が望まれる。