抄訳
特発性肺へモジデローシスは繰り返すびまん性肺胞出血をきたす原因不明の疾患である. 50代の男性は過去6年間喀血を繰り返し, 肺拡散能の低下と慢性呼吸不全を呈していた. 原因不明で精査希望なく6年間経過観察していたが, 突然の呼吸不全増悪と喀血の増悪をきたして入院となった. 胸部CTではびまん性肺陰影を呈しており, 気管支肺胞洗浄液ではヘモジデリン貪食マクロファージを認めた. それらの所見からびまん性肺胞出血と診断した. 特発性肺へモジデローシス以外のびまん性肺胞出血をきたす疾患は否定的であり, 特発性肺へモジデローシスが疑われた. ステロイドとアザチオプリンの併用療法によって喀血と慢性呼吸不全は改善したが, 肺拡散能低下は改善しなかった. ステロイドとアザチオプリンの併用療法では成人発症の特発性肺へモジデローシスに対して呼吸不全と喀血は改善するが, 肺拡散能は改善しない可能性がある.