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2021/08/02

稀な初発症状である視神経周囲炎と後腹膜脂肪織炎で発症したベーチェット病の一例

論文タイトル
Optic nerve perineuritis and retroperitoneal panniculitis: rare first presentations of Behçet’s disease
論文タイトル(訳)
稀な初発症状である視神経周囲炎と後腹膜脂肪織炎で発症したベーチェット病の一例
DOI
10.1136/bcr-2021-243997
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Vol.14 Issue 7 (2021)
著者名(敬称略)
吉岡 克宣  森田 英子
所属
四天王寺病院 内科

抄訳

症例は46歳女性。高熱と腰痛のため入院となった。CTでは大動脈周囲の脂肪織濃度の上昇がみられ、後腹膜脂肪織炎が疑われた。翌日患者は下腿痛、口内痛、排尿時痛、および眼球運動によって増強する右眼痛を訴えた。診察上、下腿結節性紅斑・アフタ性口内炎・陰部潰瘍を認めた。眼科的検索では視力は両眼とも正常であったが、軽度の右視神経乳頭浮腫を認めた。ガドリニウム造影MRIでは右視神経周囲の著明な造影効果を認め、視神経周囲炎が疑われた。以上からベーチェット病と診断した。プレドニンおよびコルヒチンによる治療にて臨床症状、CT, MRIでの異常所見は速やかに改善した。視神経周囲炎は特発性に生じることもあるが、ベーチェット病などの自己免疫疾患に伴って生じる事もある。視神経周囲炎を示唆する初期徴候は眼球運動によって増強する眼痛である。視力低下の後遺症を残さないためにも、その様な症例では視神経周囲炎を疑い速やかに造影MRIを施行する事が重要である。

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