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2021/09/15

玄米摂取はZucker ratにおいて非アルコール性脂肪肝の発症をレチノイン酸生合成経路の活性化によって抑制する

論文タイトル
Brown Rice Inhibits Development of Nonalcoholic Fatty Liver Disease in Obese Zucker (fa/fa) Rats by Increasing Lipid Oxidation Via Activation of Retinoic Acid Synthesis
論文タイトル(訳)
玄米摂取はZucker ratにおいて非アルコール性脂肪肝の発症をレチノイン酸生合成経路の活性化によって抑制する
DOI
10.1093/jn/nxab188
ジャーナル名
Journal of Nutrition
巻号
Journal of Nutrition Vol.151 Issue 9 (2705–2713)
著者名(敬称略)
松本 雄宇, 山本 祐司 他
所属
東京農業大学 応用生物科学部 農芸化学科栄養生化学研究室

抄訳

 肥満は、脂質異常症、高血圧、2型糖尿病の原因となるばかりでなく非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の原因であります。放置すると肝硬変、肝癌へと変遷することが知られておりますが、基本的に食事カロリーの制限と運動の推奨が治療戦略であり、積極的な治療方法はまだ確立されていないのが現状です。
 本研究ではNAFLDを発症することが報告されているZucker fatty ラットにAIN-93Gを基本飼料として飼料中の炭水化物源を白米や玄米に置き換えた飼料を調製し100日間与えたところ、AIN-93Gを給餌したラットは脂肪肝を発症したにもかかわらず、白米、特に玄米で置き換えを行った飼料群では、脂肪肝の形成の抑制がみられました。解析の結果、玄米摂取により肝臓中のビタミンAの活性本体であるレチノイン酸生合成経路が上昇していたことがわかりました。レチノイン酸は核内受容体を介して、脂肪酸の分解(β酸化)に関わる因子の遺伝子発現を制御することから玄米に含まれる未知成分がレチノイン酸生合成を高め、脂質代謝改善を促すことでNAFLDの改善効果が現れたものと考察しています。著者らは、肥満によるNAFLD発症が、玄米をたべることで、予防・抑制できることと、その作用機序がこれまで報告例のない「ビタミンA代謝を亢進」することで脂質代謝を改善することを明らかにしました。

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