抄訳
本研究では、強いウイルス不活化活性を有する一価銅イオンを担持させたヨウ化銅ナノ粒子の新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) 不活化活性およびその作用機序を解析した。ヨウ化銅ナノ粒子分散液とSARS-CoV-2を混合し一定時間反応させたところ、作用時間依存的なウイルス不活化が認められた。その際、ヨウ化銅ナノ粒子処理によりウイルスタンパク質が破壊され、その作用には一価銅イオン由来の活性酸素が寄与する可能性が示された。また、ヨウ化銅ナノ粒子処理によりウイルスゲノムが破壊される可能性も示された。更にヨウ化銅ナノ粒子塗付フィルムおよび布についてもSARS-CoV-2に対する殺ウイルス活性を評価した。その結果、同フィルムおよび布共に作用時間依存的なウイルス不活化活性を示した。本研究により、ヨウ化銅ナノ粒子を適用した抗ウイルス素材を環境中のSARS-CoV-2の不活化へ応用できる可能性が示された。