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2022/01/12

血液透析患者におけるスクレロスチン,二次性副甲状腺機能亢進症,骨代謝の相互関係

論文タイトル
Interrelationships Between Sclerostin, Secondary Hyperparathyroidism, and Bone Metabolism in Patients on Hemodialysis
論文タイトル(訳)
血液透析患者におけるスクレロスチン,二次性副甲状腺機能亢進症,骨代謝の相互関係
DOI
10.1210/clinem/dgab623
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol.107 Issue1 (e95–e105)
著者名(敬称略)
中川 洋佑, 駒場 大峰 他
所属
東海大学医学部腎内分泌代謝内科

抄訳

スクレロスチンは骨細胞により産生され,骨芽細胞の分化・石灰化,及び骨形成を抑制する。スクレロスチンは腎機能低下とともに上昇するが,腎不全患者の骨代謝における役割は明らかでない。そこで我々は血液透析患者654名が参加する東海透析コホート研究のデータと保存血清を用いて,スクレロスチンと副甲状腺ホルモン(intact PTH),骨形成マーカーBAP,骨吸収マーカーTRACP-5b,中手骨骨密度,骨折リスクとの関連性を検討した。透析患者のスクレロスチンの中央値は163 pmol/Lで,健常人の3〜4倍の値であった。スクレロスチンの上昇は,中手骨骨密度の上昇,及びintact PTH,BAP,TRACP-5bの低下と関連していた。スクレロスチンと骨代謝マーカーとの関連性は,intact PTHで調整すると大きく減弱した。媒介分析では,骨代謝回転に対するPTHの影響は主に直接的であり,スクレロスチン抑制を介さないことが示唆された。スクレロスチンは骨折既往とも新規骨折とも関連しなかった。以上の結果より,透析患者の骨代謝におけるスクレロスチンの役割は限定的であり,骨代謝回転に対するPTHの効果を媒介しないと考えられる。

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