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2022/01/26

終神経に存在するニューロペプチドFF(NPFF)と生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン3(GnRH3)が協調してオス性行動のモチベーションを昂進する

論文タイトル
Co-existing Neuropeptide FF and Gonadotropin-Releasing Hormone 3 Coordinately Modulate Male Sexual Behavior
論文タイトル(訳)
終神経に存在するニューロペプチドFF(NPFF)と生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン3(GnRH3)が協調してオス性行動のモチベーションを昂進する
DOI
10.1210/endocr/bqab261
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology Vol. 163 Issue 2 (bqab261)
著者名(敬称略)
馬谷 千恵, 岡 良隆 他
所属
東京大学 大学院 理学系研究科 生物科学専攻

抄訳

一般に動物は、雌雄が体の内外からの情報を用いて、互いを異性として認め、繁殖期に性行動を行うことで、生殖により子孫を残す。しかし、脳が情報を受けてから動物が性行動を示すまでの神経機構については、多くが不明であった。本研究では、様々な感覚入力を受けることが報告されている終神経GnRHニューロンに着目し、これらが作る2つの神経ペプチドGnRH3とNPFFの遺伝子をノックアウト(KO)したメダカを作出し、メダカの性行動を解析した。すると、一方のペプチドだけをKO(単独KO)したオスメダカでは、最終的には性行動ができるものの、性行動の多くのパートが、野生型と比べて遅れて生じるようになった。一方、両ペプチドKOオスメダカでは、単独KOメダカで観察されたような性行動の遅れがなくなった。これらの結果から、同じニューロンの作る複数の神経ペプチドがバランスよく脳内に作用することで、オス性行動のモチベーションを昂進することが考えられた。

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