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2022/08/24

主要な時計遺伝子Bmal1を腸管特異的に欠損するマウスでは、グルコース吸収が低下する

論文タイトル
The Lack of Bmal1, a Core Clock Gene, in the Intestine Decreases Glucose Absorption in Mice
論文タイトル(訳)
主要な時計遺伝子Bmal1を腸管特異的に欠損するマウスでは、グルコース吸収が低下する
DOI
10.1210/endocr/bqac119/dd>
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 163, Issue 9, September 2022, bqac119
著者名(敬称略)
大沼 真輔, 川井 正信 他
所属
大阪母子医療センター研究所 骨発育疾患研究部門

抄訳

腸管生物時計の破綻は、栄養素の吸収効率を低下させ、代謝恒常性に悪影響を及ぼしうる。グルコースは腸管から吸収される重要な栄養素であるが、腸管生物時計とグルコース吸収との関連は不明な点が多い。本研究では、主要な時計遺伝子Bmal1を腸管特異的に欠損するマウス(Bmal1 int-/- マウス)を用い、糖代謝表現型の解析を行った。Bmal1 int-/- マウスでは、小腸におけるグルコーストランスポーター遺伝子Sglt1の発現リズムが消失し、活動期のグルコース吸収が低下していた。BMAL1と二量体を形成するCLOCKが、Sglt1のエンハンサー領域に時間依存性に結合しSglt1のリズム性発現を誘導したが、Bmal1 int-/- マウスでは時間依存性の結合が消失していた。また、Bmal1 int-/- マウスでは肝グリコーゲン量が時間依存性に減少し、その結果、絶食時において脂肪分解関連遺伝子Pnpla2の発現が亢進していた。以上より、腸管生物時計の破綻はグルコース吸収を低下させ、全身のエネルギー代謝に影響を及ぼすことが示唆された。

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