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2022/11/04

Pre-mRNAから翻訳されたCDKインヒビターp27のトランケート型タンパク質はG2期停止を引き起こす

論文タイトル
A Truncated Form of the p27 Cyclin-Dependent Kinase Inhibitor Translated from Pre-mRNA Causes G2-Phase Arrest
論文タイトル(訳)
Pre-mRNAから翻訳されたCDKインヒビターp27のトランケート型タンパク質はG2期停止を引き起こす
DOI
10.1128/mcb.00217-22
ジャーナル名
Molecular and Cellular Biology
巻号
Molecular and Cellular Biology 01 November 2022 e00217-22
著者名(敬称略)
甲斐田大輔 他
所属
富山大学 学術研究部医学系 遺伝子発現制御学講座

抄訳

Pre-mRNAスプライシングは、真核生物の遺伝子発現にとって必須の機構である。我々は、スプライシング阻害が細胞周期停止を引き起こすことや、細胞周期停止がスプライシング阻害剤の抗がん活性の原因であることを明らかとしてきた。しかしながら、細胞周期停止の詳細な分子メカニズムは明らかではなかった。今回我々は、スプライシング阻害によりG2期で停止した細胞で、pre-mRNAから翻訳されたp27タンパク質のトランケート型(以下p27*)が蓄積していることを明らかとした。p27*の過剰発現はG2期停止を引き起こし、逆に、p27*のノックダウンによりG2/M期からG1期への移行が促進された。また、p27*はM期サイクリンと結合し、そのリン酸化活性を阻害した。さらに、全長のp27はG2/M期においてプロテアソームにより分解されるものの、p27*はプロテアソームによる分解を受けないことも明らかとなった。これらのことから、スプライシング異常時には、pre-mRNA由来のトランケート型タンパク質であるp27*が蓄積し、M期サイクリンを阻害することでG2期停止を引き起こしていると考えられる。

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