本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2023/01/25

POU1F1/Pou1f1 c.143-83A > Gバリアントはpre-mRNAの分岐部位を破壊し、成長障害を引き起こす

論文タイトル
POU1F1/Pou1f1 c.143-83A > G Variant Disrupts the Branch Site in Pre-mRNA and Leads to Dwarfism
論文タイトル(訳)
POU1F1/Pou1f1 c.143-83A > Gバリアントはpre-mRNAの分岐部位を破壊し、成長障害を引き起こす
DOI
10.1210/endocr/bqac198
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 164, Issue 2, February 2023, bqac198
著者名(敬称略)
秋葉 和壽, 鳴海 覚志 他
所属
国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部

抄訳

POUクラス1ホメオボックス1(POU1F1/Pou1f1)は、下垂体特異的な転写因子であり、機能喪失変異により複合型下垂体ホルモン欠乏症を引き起こす。POU1F1/Pou1f1は、α/βアイソフォームの2つのアイソフォームを有する。近年、βアイソフォーム特異的領域(βドメイン)とそのエキソン-イントロン境界付近に病原性変異が複数報告された。しかし、その機序は不明であった。本研究では、Pou1f1 c.143-83A>G置換を持つマウスを作製した。ホモマウスは出生後の成長不全、下垂体前葉低形成、インスリン様成長因子1およびサイロキシンの欠乏を示した。さらに下垂体Pou1f1 mRNA解析により、スプライシングの異常(αアイソフォームの減少、βアイソフォームの増加、エキソンスキップ体の出現)を認めた。そこで、POU1F1全長およびスプライシングの分岐部位候補を置換した人工遺伝子をHEK293細胞に一過性発現させたところ、c.143-83A>Gのみがホモマウスと同様の結果を示した。本研究は、c.143-83A>G変異体がスプライシング異常により、下垂体の形態的・機能的異常を起こすことを世界で初めて明らかにした。

論文掲載ページへ