抄訳
翻訳因子EF-TuはアミノアシルtRNAをリボソームに運搬する。本研究では、シロイヌナズナの葉緑体に局在するEF-Tu(以下、cpEF-Tu)について、組換えタンパク質を作製して酸化感受性を解析した。cpEF-Tuを過酸化水素で処理すると、システイン残基が酸化されてスルフェン酸が生成した。cpEF-Tuの翻訳活性を大腸菌in vitro翻訳系を使って調べたところ、酸化型cpEF-Tuは失活していることがわかった。成熟型cpEF-Tuに存在する2つのシステイン残基のうちCys149をセリン残基に改変したcpEF-Tuでは、過酸化水素によるシステイン残基の酸化も翻訳活性の失活も見られなかったことから、Cys149の酸化が失活の原因であることが示唆された。また、酸化型cpEF-Tuは葉緑体に存在する主要なチオレドキシンf1により還元され、再活性化されることから、cpEF-Tuの酸化は可逆的でレドックス依存的な翻訳制御メカニズムであることが示唆された。