抄訳
タンパク質の摂取は、強力に体温を上昇、エネルギー消費を増大させるが、そのメカニズムは十分に解明されていない。Glucagon-like peptide-1(GLP-1)は食後に分泌される消化管ホルモンであり、タンパク質摂取はその分泌を強力に促進する。本研究では、食事タンパク質誘導性の熱産生作用におけるGLP-1の関与を、ラット及びマウスを用いて検討した。ラットの直腸温測定により、タンパク質の経口投与による熱産生作用が、炭水化物や脂質の作用よりも大きいことが観察された。また、5種類の食事タンパク質(カゼイン、ホエイ、米、卵、大豆)の中で、大豆タンパク質が最も直腸温を上昇させた。さらに、大豆タンパク質の熱産生作用は、GLP-1受容体アンタゴニスト処理およびGLP-1受容体欠損マウスでは完全に消失した。これらの結果は、ラット及びマウスにおける食事タンパク質誘導性の熱産生作用にGLP-1シグナルが必須であるという新たなメカニズム、ならびに消化管ホルモンGLP-1の新たな生理的役割を提唱するものである。