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2023/06/07

GLP-1は齧歯類において食事タンパク質の熱産生作用に関与する

論文タイトル
Glucagon-Like Peptide-1 is Involved in the Thermic Effects of Dietary Proteins in Male Rodents
論文タイトル(訳)
GLP-1は齧歯類において食事タンパク質の熱産生作用に関与する
DOI
10.1210/endocr/bqad068
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 164, Issue 6, June 2023, bqad068
著者名(敬称略)
落合 啓太, 比良 徹 他
所属
北海道大学 大学院農学研究院 基盤研究部門 生物機能化学分野 食品栄養学研究室

抄訳

タンパク質の摂取は、強力に体温を上昇、エネルギー消費を増大させるが、そのメカニズムは十分に解明されていない。Glucagon-like peptide-1(GLP-1)は食後に分泌される消化管ホルモンであり、タンパク質摂取はその分泌を強力に促進する。本研究では、食事タンパク質誘導性の熱産生作用におけるGLP-1の関与を、ラット及びマウスを用いて検討した。ラットの直腸温測定により、タンパク質の経口投与による熱産生作用が、炭水化物や脂質の作用よりも大きいことが観察された。また、5種類の食事タンパク質(カゼイン、ホエイ、米、卵、大豆)の中で、大豆タンパク質が最も直腸温を上昇させた。さらに、大豆タンパク質の熱産生作用は、GLP-1受容体アンタゴニスト処理およびGLP-1受容体欠損マウスでは完全に消失した。これらの結果は、ラット及びマウスにおける食事タンパク質誘導性の熱産生作用にGLP-1シグナルが必須であるという新たなメカニズム、ならびに消化管ホルモンGLP-1の新たな生理的役割を提唱するものである。

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