本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2023/06/23

骨形成不全症2型の乳児に対するパミドロネート治療の有効性

論文タイトル
Cyclic intravenous pamidronate for an infant with osteogenesis imperfecta type II
論文タイトル(訳)
骨形成不全症2型の乳児に対するパミドロネート治療の有効性
DOI
10.1136/bcr-2022-252593
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Vol.16 Issue 5
著者名(敬称略)
深堀 響子 長崎 啓祐
所属
新潟大学医学部 小児科学教室

抄訳

論文要旨:骨形成不全症(OI)2型は、周産期致死型と言われていた最重症型で、生後1ヶ月までに呼吸不全などにより90%以上が死亡する。現在、OIに対して骨折頻度の減少および骨痛の改善目的に、パミドロネート治療が行われるが、OI 2型に対する使用例はほとんど報告がなく、その安全性や有効性など明らかではない。我々は、OI 2型の乳児に対してパミドロネートの静脈内投与を行い、長期生存している例を報告する。在胎17週に胎児の大腿骨短縮を指摘され、在胎28週におこなった胎児CTの所見からOI 2型が疑われていた。出生後、呼吸困難のため気管内挿管を行い、人工呼吸器管理を行った。COL1A1のヘテロ接合性バリアント(c.1679G>T,p.Gly358Val)が確認され、OI 2型と診断した。生後41日目にパミドロネートの静脈内投与を開始し、投与量を調整しながら1ヶ月毎に投与した。生後7ヶ月で抜管に成功し、高流量鼻カニューレを使用して呼吸状態は安定している。生後12ヶ月現在、出生後の新規骨折はなく、NICUで在宅に向けて管理中である。OI 2型に対する集学的な呼吸器管理やパミドロネート治療により生命予後が改善する可能性がある。

患者の視点(両親の声) 私たちは、出生前に致死性の骨系統疾患と診断されたとき、混乱と不安に襲われました。この診断で元気に生活している人はいるのか」「頭や両上下肢の形が良くなる可能性はあるのか」「出産する母体にリスクはないのか」等々、医療スタッフに質問をたくさんしました。しかし、私たちは医師に何を言われても妊娠を継続すると決めていたので、中絶という選択肢はなかったです。羊水検査はリスクを伴うので希望しませんでしたし、その結果が私たちの決断を左右することはないとわかっていました。妊娠中、赤ちゃんが生きているかどうか常に心配でした。何が起こってもいいように準備はしていましたが、同時に彼の生命力を信じたいという気持ちもありました。 出産後、赤ちゃんが無事に生まれてきてくれて本当によかったと思いました。赤ちゃんに触れることができたことも嬉しかった。私たち二人とも、心肺蘇生法を含む最善かつ最も積極的な管理を望みました。出産後、お母さんのお腹の中で骨折したと聞かされ、私たちはショックを受けました。まるで私たちのせいのようでした。パミドロネート治療については、正直、副作用が怖かった。しかし、治療をしなければ何も良くならないので、治療を受けさせました。現在、骨が強くなっているのを実感しており、励みになっています。今は、病気に関係なく、兄と同じようにたくさんの愛情を注いであげたいと思っています。大きな信念と希望を持って、私たちは彼の生きる意志を信じています。

論文掲載ページへ