抄訳
RhoA低分子量GTPaseは、ストレスファイバー形成の調節を介して、細胞の形態・接着・移動・浸潤などを制御する。これまでの研究から、RhoAタンパク質はCUL3ユビキチンリガーゼにより分解誘導されうることが知られていたが、このプロセスがどのように調節されているかは明らかではなかった。本論文で我々は、RhoAの安定性はBAG6シャペロンにより支えられていることを見出した。BAG6ノックダウンはCUL3ユビキチンリガーゼによるRhoAの認識と分解を促進し、ストレスファイバーやフォーカルアドヒージョンの減少、ひいては細胞遊走の低下を誘導する。重要なことに、これらの表現型はRhoAの過剰発現、あるいはCUL3ノックダウンなどによりレスキューされた。さらに、BAG6によるRhoA認識は疎水性相互作用を介していることも判明した。BAG6による疎水領域の認識は、構造不良タンパク質の認識メカニズムと共通していることから、BAG6を介したタンパク質品質管理系とアクチンファイバー構築の制御系にはクロストークがありうることが本論文で初めて示唆された。