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2023/11/02

子宮筋腫の発生・病態におけるMED12変異の役割

論文タイトル
RISING STARS: Role of MED12 mutation in the pathogenesis of uterine fibroids
論文タイトル(訳)
子宮筋腫の発生・病態におけるMED12変異の役割
DOI
10.1530/JME-23-0039
ジャーナル名
Journal of Molecular Endocrinology
巻号
Journal of Molecular Endocrinology Volume 71: Issue 4 e230039
著者名(敬称略)
石川博士 他
所属
千葉大学大学院医学研究院生殖医学

抄訳

子宮筋腫は大量の細胞外マトリックスを含み、性ステロイド依存性発育を示す。子宮筋腫のドライバー遺伝子変異で最も頻度の高いMED12変異は、筋腫の50-80%にみられる。このMED12変異は機能獲得型変異と考えられており、アフリカ系アメリカ人に多く、多発性筋腫では比較的小さな筋腫にもみられる。MED12変異筋腫は特有の遺伝子発現プロファイル、DNAメチローム、トランスクリプトーム、プロテオームを持つ。また細胞外マトリックス関連遺伝子の発現が上昇しており、メディエーター複合体のキナーゼ活性とWnt/βカテニンシグナル経路に異常がみられる。臨床的にはMED12変異の有無でGnRHアナログ製剤や選択的プロゲステロン受容体モジュレーターであるウリプリスタル投与による縮小効果が異なる。MED12変異筋腫の特徴を理解し、MED12変異の筋腫形成への関与を明らかにすることは、MED12を標的にした子宮筋腫に対する新たな治療法の開発につながると考えられる。

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