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2023/11/08

ウイルスゲノム様人工遺伝子を利用した安定的二本鎖RNAウイルスベクターの構築

論文タイトル
Genetic engineering strategy for generating a stable dsRNA virus vector using a virus-like codon-modified transgene
論文タイトル(訳)
ウイルスゲノム様人工遺伝子を利用した安定的二本鎖RNAウイルスベクターの構築
DOI
10.1128/jvi.00492-23
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
Journal of Virology October 2023  Volume 97  Issue 10  e00492-23
著者名(敬称略)
金井 祐太 他
所属
大阪大学 微生物病研究所 ウイルス免疫分野

抄訳

RNAウイルスには様々な細胞を標的とする多様なウイルスが含まれ、ウイルスベクターの魅力的なプラットフォームであるが、ウイルスゲノム複製のためのRNAポリメラーゼが校正活性を欠くため、継代を繰り返す過程でウイルスゲノムに挿入された外来遺伝子が欠失することが知られている。本研究では、分節型二本鎖RNAをゲノムとして持つレオウイルス科のロタウイルス(RV)をウイルスベクターとして使用した際の外来遺伝子の安定性向上のため、ルシフェラーゼ遺伝子(NLuc、Akaluc)および蛍光タンパク質遺伝子(ZsGreen、AsRed)を元に、ロタウイルスNSP1遺伝子のコドン使用頻度に類似するよう塩基配列を改変した人工遺伝子をデザインした。未改変の外来遺伝子を発現するRVベクターは感染継代後に外来遺伝子の欠損が高確率に認められたが、RVゲノム様に改変した人工遺伝子は安定的に保持されることが明らかとなった。同様にレオウイルス科の哺乳類レオウイルス(MRV)ベクターにおいても、外来遺伝子の塩基配列をMRVゲノム様に改変することで安定性が顕著に上昇することが確認されたことから、本手法が様々なRNAウイルスベクターに広く利用できる可能性が示唆された。

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