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2024/04/16

コルチコトロフ腫瘍における、腫瘍浸潤免疫細胞(TIICs)に対するコルチゾール暴露環境の影響

論文タイトル
Effects of the Cortisol Milieu on Tumor-Infiltrating Immune Cells in Corticotroph Tumors
論文タイトル(訳)
コルチコトロフ腫瘍における、腫瘍浸潤免疫細胞(TIICs)に対するコルチゾール暴露環境の影響
DOI
10.1210/endocr/bqae016
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 165, Issue 4, April 2024, bqae016
著者名(敬称略)
神澤 真紀 福岡 秀規 他
所属
神戸大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科

抄訳

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫関連副作用により生じる下垂体炎ではACTH単独障害が多いことから、ACTH産生細胞はリンパ球による細胞障害を受けやすい事が推測される。このことに着目し、我々はACTH産生下垂体腫瘍(ACTHoma)にICIを用いた腫瘍免疫治療が期待できると仮説をたて、その効果を予測する腫瘍浸潤免疫細胞(TIICs)について、手術検体病理標本を免疫組織化学的に検討した。しかしACTHomaは他の下垂体腫瘍と比較してもCD8陽性細胞浸潤が少なかった。これが高コルチゾール環境による影響かを明らかにするため、術前メチラポン投与による高コルチゾール是正の有無と、コルチコトロフ由来非機能性腫瘍の3郡で比較検討したところCD4陽性細胞は特に高コルチゾール環境で抑制されていることが示された。一方ACTHomaに浸潤する腫瘍関連マクロファージはほとんどがM2マクロファージであり、その数はコルチゾールレベル、腫瘍サイズと正の相関を示した。本研究で我々は、ACTHomaは高コルチゾール血症非依存性に免疫学的”cold”な状態であることを明らかにした。一方で、腫瘍浸潤CD4陽性細胞数およびM2マクロファージ数はコルチゾール環境の影響を受けていることを見出した。ACTHomaに対してICI治療は抵抗性を示す可能性が高いが、高コルチゾールも考慮した更なる打開策を考える必要がある。

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