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2024/04/18

海洋由来放線菌培養液からの新規 MAC 症治療薬マビントラマイシンの発見

論文タイトル
Mavintramycin A is a promising antibiotic for treating Mycobacterium avium complex infectious disease
論文タイトル(訳)
海洋由来放線菌培養液からの新規 MAC 症治療薬マビントラマイシンの発見
DOI
10.1128/aac.00917-23
ジャーナル名
Antimicrobial Agents and Chemotherapy
巻号
Antimicrobial Agents and Chemotherapy Vol. 68, No. 3
著者名(敬称略)
細田 莞爾、茂野 聡、大城 太一、供田 洋 他
所属
北里大学 薬学部 微生物薬品製造学教室
著者からのひと言
Mycobacterium avium complex (MAC) 症は、罹患者数、死亡者数ともに増加傾向にあり、我が国の Priority Pathogens Lists で最も緊急性の高い Priority 1 に指定されるなど、公衆衛生上の問題として注目されている感染症です。一方で、MAC 症のみを対象とした治療薬はなく、新薬開発も十分ではありません。今回私たちが発見したマビントラマイシンは、MAC 菌選択的な抗菌スペクトルを示し、in vivo でも有効性を示しました。本物質は、MAC 症治療薬シードとして社会実装に向けた創薬展開が期待されます。

抄訳

Mycobacterium avium complex (MAC) 症は、非結核性抗酸菌である M. avium および M. intracellulare により引き起こされる感染症である。その治療薬は限定され、それらの 1 年以上の併用投与から耐性菌の出現も問題となり、新規治療薬の開発が強く求められている。本研究では、スクリーニング方法として、抗 MAC 活性を示した微生物培養液を LC-MS ネットワークを用いて既存化合物と重複の少ない候補培養液を選択する手法を用いた。その結果、海洋由来放線菌の培養抽出液より、新規マビントラマイシン (mavintramycin) 群を発見した。特に、成分A (MMA) は既存の MAC 症治療薬に匹敵する抗菌活性を示し、さらには薬剤耐性菌を含む M. avium 臨床分離株に対しても優れた抗菌活性を示した。作用機序解析より、MMA は M. avium の 23S リボソームを標的とし、タンパク質合成を阻害した。また、カイコおよびマウスを用いた in vivo 感染モデルでも、MMA の有効性を確認した。このように MMA は、既存薬とは異なる作用機序を有し、in vivo でも有効性を示したことから、新たな MAC 症治療薬シードとして有望であり、今後の創薬展開が期待される。

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