抄訳
牛舎からの排泄物や廃水を嫌気処理するメタン発酵槽から分離し、その系統や生理的特徴等を調べた発酵性嫌気性細菌株のうち、16S rRNA遺伝子塩基配列がほぼ同じで同種とみなされた通性嫌気性プロピオン酸生成細菌4菌株について、ゲノム解析を含む包括的な特徴づけを行った。これらの菌株の最近縁種はBrooklawnia cerclae BL-34T (配列類似性96.4%)だった。細胞はいずれもグラム陽性多型桿菌で、増殖に伴って大きな凝集塊を作る菌株があった。どの菌株も糖類を発酵して酢酸、プロピオン酸、乳酸を生成したが、プロピオン酸生成量は菌株により異なった。主要な菌体脂肪酸はanteiso-C15:0やC15:0等で、メナキノンMK-9(H4)を持っていた。SH051T株のゲノムは大きさが3.21 Mb、G+C 含量は 65.7 mol%で、プロピオン酸生成経路のWood-Werkman pathway全遺伝子とその経路に必須のビタミンB12合成系関連の多数の遺伝子を持っていた。SH051T (= NBRC 116195T = DSM 116141T)株を基準菌株として、これらの菌株を新種のBrooklawnia propionicigenesと命名した。