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2024/05/16

進行卵巣癌を疑い施行した審査腹腔鏡で結核性腹膜炎と診断した一例

論文タイトル
Tuberculous peritonitis diagnosed following laparoscopic examination for suspected advanced ovarian cancer
論文タイトル(訳)
進行卵巣癌を疑い施行した審査腹腔鏡で結核性腹膜炎と診断した一例
DOI
10.1136/bcr-2023-257973
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Vol.17 Iss.3 (2024)
著者名(敬称略)
野中 みづき  石田 洋昭
所属
東邦大学医療センター 佐倉病院 産婦人科
著者からのひと言
近年は、初回で切除困難と判断された進行卵巣癌は病理組織検査と遺伝学的検査を実施する目的で審査腹腔鏡を実施する機会が増えています。結核性腹膜炎は卵巣癌と類似しており、術前の診断が困難な疾患で、術後の病理組織診断で結核と診断される事も少なくありません。今回の症例を後方視的に検討し、術前に結核性腹膜炎を鑑別疾患に入れる事が可能か否か、結核性腹膜炎の卵巣癌との類似点を考察しました。

抄訳

腹腔内探索および組織サンプリングのための腹腔鏡検査は、最初の手術で完全な腫瘍縮小を達成することが難しいと考えられる進行卵巣がんに有用です。これは、進行性卵巣がんの疑いがある患者で腹腔鏡検査を受け、後に病理学的に結核性腹膜炎と診断された症例の報告です。便秘を訴える50代女性。 画像検査で大量の腹水が示されたため、さらなる評価のために紹介されました。 我々は当初、大量の腹水と複数の腹膜結節の存在により進行卵巣がんを疑いました。しかし、審査腹腔鏡での病理組織検査の結果、結節は結核であることが判明し、結核性腹膜炎と診断されました。結核性腹膜炎は誤診されたり、進行卵巣がんと間違われたりする可能性があることに注意することが重要です。結核性腹膜炎の術前診断は多くの場合困難です。術中所見でびまん性の結節性播種性病変が見られる場合は、結核性腹膜炎を考慮する必要があります。

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