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2024/05/17

フェルラ酸から一段階でバニリンを生成する酵素の開発

論文タイトル
Engineering a coenzyme-independent dioxygenase for one-step production of vanillin from ferulic acid
論文タイトル(訳)
フェルラ酸から一段階でバニリンを生成する酵素の開発
DOI
10.1128/aem.00233-24
ジャーナル名
Applied and Environmental Microbiology
巻号
Applied and Environmental Microbiology Ahead of Print
著者名(敬称略)
藤巻 静香 古屋 俊樹 他
所属
東京理科大学 創域理工学部 生命生物科学科
著者からのひと言
バニラの甘い香り成分であるバニリンを、植物由来のフェルラ酸から一段階で生成する酵素の開発に成功しました。米ぬかや小麦ふすま等の農産廃棄物から豊富に得られるフェルラ酸を、開発した酵素と常温で混ぜるだけでバニリンを生成できるため、確立した技術は簡便かつ環境にやさしい香料化合物生産手法を提供することができます。

抄訳

バニラアイスクリームやシュークリームの上質な甘い香りの主成分は、ラン科のバニラ属植物から得られるバニリンという化合物である。さまざまなスイーツの香料や香粧品などに広く使用されており、世界的に需要の高い化合物だが、植物からの抽出により得られる量は限られているため価格高騰がしばしば問題となる。本研究では、植物由来のフェルラ酸から一段階でバニリンを生成する酵素の開発に成功した。フェルラ酸をバニリンに変換する酵素の創製を試行錯誤する中で、フェルラ酸と部分構造が類似するイソオイゲノールという化合物を変換する酵素に着目した。この酵素タンパク質を分子進化させたところ、3つのアミノ酸残基を変えるだけでフェルラ酸をバニリンに変換するようになることを発見した。原料のフェルラ酸は米ぬかや小麦ふすま等の農産廃棄物から豊富に得られる化合物である。このフェルラ酸と開発した酵素を常温で混ぜるだけでバニリンを生成できるため、確立した技術は簡便かつ環境にやさしい香料化合物生産手法を提供することができる。

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