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2024/10/22

沖縄県のベンガルヤハズカズラおよび土壌から見つかった新種酵母Yamadazyma thunbergiae sp. nov.

論文タイトル
Yamadazyma thunbergiae sp. nov., a novel yeast species associated with Bengal clock vines and soil in
Okinawa, Japan
論文タイトル(訳)
沖縄県のベンガルヤハズカズラおよび土壌から見つかった新種酵母Yamadazyma thunbergiae sp. nov.
DOI
10.1099/ijsem.0.006537
ジャーナル名
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology
巻号
Volume 74 Issue 10
著者名(敬称略)
清家 泰介
所属
大阪大学大学院情報科学研究科バイオ情報計測学講座
著者からのひと言
この新種の酵母は、2022年夏に沖縄の美ら海水族館前で咲いていたベンガルヤハズカズラと、翌年の冬に琉球大学キャンパスの土壌から単離されました。特に注目すべきは、Yamadazyma属の中でもラフィノースやメリビオースなど、幅広い糖を利用できる点です。この多様な糖利用能力は、産業利用への大きな可能性を秘めています。世界中で数千種以上の酵母が発見されていますが、まだまだ身近な場所にも新種が潜んでいるかもしれません。さらなる酵母の発見を通じ、その可能性を広げていきたいと考えています。

抄訳

沖縄県のベンガルヤハズカズラ(Thunbergia grandiflora)および土壌からそれぞれ単離された酵母2株、JCM 36746TおよびJCM 36749が新たに発見された。rRNA遺伝子のITS領域およびD1/D2ドメインの配列解析により、両株は同一の配列を持ち、同種に属することが確認された。配列解析および生理学的特徴から、これらの株はYamadazyma属の新種であると判明した。ITSおよびD1/D2の配列類似性から、JCM 36746TおよびJCM 36749は、Candida dendronema、C. diddensiae、C. germanica、C. kanchanaburiensis、C. naeodendra、C. vaughaniae、Y. akitaensis、Y. koratensis、Y. nakazawae、Y. philogaea、Y. phyllophila、Y. siamensis、Y. ubonensis、未記載の3種(Candida aff. naeodendra/diddensiae Y151、Candida sp. GE19S08、Yamadazyma sp.株 NYNU 22830)を含むYamadazymaクレードに属することが示唆された。新種のD1/D2ドメインおよびITS領域の配列は、これらの関連種と比較して、それぞれ1.51%および2.57%以上のヌクレオチド置換の違いが見られた。また、生理学的特徴もこれら近縁種とは異なっていた。これらの結果に基づき、この種をYamadazyma属に分類し、Yamadazyma thunbergiae sp. nov.という名称を提案した。

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