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2024/11/08

生体内CRISPRスクリーンがトキソプラズマ原虫の病原性に必須の遺伝子を同定した

論文タイトル
CRISPR screens identify genes essential for in vivo virulence among proteins of hyperLOPIT-unassigned subcellular localization in Toxoplasma
論文タイトル(訳)
生体内CRISPRスクリーンがトキソプラズマ原虫の病原性に必須の遺伝子を同定した
DOI
10.1128/mbio.01728-24
ジャーナル名
mBio
巻号
Volume 15, Issue 9 (2024)
著者名(敬称略)
橘 優汰 山本 雅裕 他
所属
大阪大学微生物病研究所 感染病態分野
著者からのひと言
トキソプラズマ症やマラリアといったアピコンプレクサに属する寄生虫による感染症は依然として人類の脅威です。トキソプラズマ原虫は実験がしやすいことからアピコンプレクサのモデル生物と言われています。今後もCRISPRを基盤技術としたトキソプラズマの研究を通じてアピコンプレクサ全体に保存された知見を得ていき、最終的には病原体のサイエンスを通じて、感染症領域において臨床に還元できる研究成果を発信したいと思っています。

抄訳

寄生虫の一種であるトキソプラズマ原虫は免疫不全患者や新生児に重篤な感染症を引き起こす。トキソプラズマ原虫がコードする8000個以上のタンパク質の多くは細胞内の局在および機能が不明であり、病原性への関与も未知数な状態であった。我々が樹立した生体内CRISPRスクリーニング技術を駆使することで、約600個のトキソプラズマ遺伝子の必須性をマウスの生体内で網羅的にスクリーニングした。その結果、トキソプラズマ原虫の病原性に必須の因子を多数同定することに成功した。その中でも医学的に最も重要な寄生虫の集団である『アピコンプレクサ』に保存されているRimM遺伝子に着目した。RimMは寄生虫の葉緑体類似器官であるアピコプラストに局在し、寄生虫の生存に必須であることを証明した。本研究成果によりアピコンプレクサが引き起こすトキソプラズマ症やマラリアの病態解明、ひいては新規治療薬やワクチン開発につながることが期待される。

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