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2024/12/16

UDP-α-D-ガラクトフラノース: β-ガラクトフラノシド β-(1→5)-ガラクトフラノース転移酵素 GfsA の基質結合と触媒機構

論文タイトル
Substrate binding and catalytic mechanism of UDP-α-D-galactofuranose: β-galactofuranoside β-(1→5)-galactofuranosyltransferase GfsA
論文タイトル(訳)
UDP-α-D-ガラクトフラノース: β-ガラクトフラノシド β-(1→5)-ガラクトフラノース転移酵素 GfsA の基質結合と触媒機構
DOI
10.1093/pnasnexus/pgae482
ジャーナル名
PNAS Nexus
巻号
Volume 3, Issue 11
著者名(敬称略)
岡 拓二、角田 佳充 他
所属
崇城大学 生物生命学部 生物生命学科
著者からのひと言
GfsAの立体構造は、真核生物由来のガラクトフラノース転移酵素として世界で初めて解明されました。GfsAの触媒部位を選択的に阻害する化合物は、細胞壁を弱体化させることで、新規の作用機序を持つ抗真菌薬として利用できる可能性があります。さらに、GfsAは糸状菌に広く保存された酵素であり、肺アスペルギルス症だけでなく、その他の真菌感染症の治療薬や植物病に対する農薬の開発にも繋がることが期待できます。

抄訳

糖転移酵素は複雑な糖鎖を合成する酵素であり、細胞において重要な役割を果たしています。糸状菌はガラクトフラノースという珍しい糖を含む糖鎖を合成し、それを細胞壁に組み込んでいます。GfsAは、糖鎖の非還元末端側のβ-ガラクトフラノース残基の5位の水酸基にUDP-α-D-ガラクトフラノースからβ-ガラクトフラノースを転移する酵素です。本研究では、肺アスペルギルス症を引き起こすAspergillus fumigatus由来のGfsAの基質結合構造と触媒機構を解明しました。マンガンイオン (Mn²⁺)、糖供与基質の生成物 (UDP)、および受容基質 (β-ガラクトフラノース) を含む複合体構造を明らかにしました。GfsAは、糖転移酵素に典型的なGT-Aフォールドドメインに加え、N末端およびC末端によって形成される独自のドメインを持っていました。N末端は他のGfsAのGT-Aドメインと相互作用し、二量体を形成していました。Mn²⁺、UDP、およびβ-ガラクトフラノースを含む活性中心は溝状の構造を形成しており、この構造は他の真菌類由来のGfsAにおいて高度に保存されていました。本研究は、ガラクトフラノース糖鎖合成の理解に必要な基礎的知見を提供し、将来的な新規抗真菌薬の開発に貢献する可能性があります。

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