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2011/05/31:第217号 学術雑誌の値上予想と米国図書館事情
 

学術雑誌の値上予想と米国図書館事情

2011年4月14日付のLibrary Journal誌に“Periodicals Price Survey 2011 l Under Pressure, Times Are Changing”というタイトルで学術雑誌の価格動向と図書館の予算を概観する記事が掲載された。著者はアリゾナ大学図書館員のStephen Bosch氏とEBSCO Information Servicesの社員2名である。報告された知見を以下の3つの観点から紹介する。

(1) 図書館の予算状況
 米経済は回復の傾向にあるというが,予算削減の標的になりやすい高等教育において図書館予算回復の兆しは依然として見えにくい。EBSCOが行った“The 2011 Library Collections and Budgeting Trends Survey”によると,約450名の回答者のうち34%が2011年度の予算を削減し,2012年度はそれを上回る44%が削減を予想している(回答者のほとんどが学術図書館員)。

(2) 学術雑誌の価格動向と2012年度値上予想
 2010年度は世界経済危機を背景に,一部の出版者の自制を反映して全体的な値上幅は抑えられたが,2011年度は上昇傾向で,2012年度も同様の傾向が続くと予想している。トムソン・ロイターが提供する引用データベース3種(Arts & Humanities Citation Index,Social Sciences Citation Index,Science Citation Index)に含まれるタイトルの2011年度価格実績と2012年度予想価格の調査では,A&HCIでは6.2%,SSCIでは6.6%,SCIでは7.6%の値上げが予想されている。また,EBSCO社が提供するデータベースAcademic Search Premierでは2012年度の値上幅を8.5%と予想した。2012年度の全体的な価格上昇については,一般的な定期刊行物を5-7%,学術タイトルについては7-9%の範囲と推測している。

(3) 図書館の対応
 上記のEBSCOの調査では,予算削減の対応策として78%の回答者が冊子体の雑誌購読中止を挙げている。EBSCOの別の調査からも同様の結果が示されており,図書館回答者の80%以上が予算目標を達成するためにプリント+オンラインの定期購読からオンラインオンリーに移行することを望んでいることが示された。
 図書館では,利用頻度の低い雑誌だけでなく高い雑誌までもが継続困難な状況である。対応として,オープンアクセス(OA)文献の利用促進や,文献単位の購入方法であるPPV(Pay-per-view)サービスによる代替えが挙げられている。著者は,論文単位の利用実績データの提供を目指すPIRUS2プロジェクトがPPVの普及に貢献するだろうと述べている。

 この報告は米国の購読価格や状況を基にし,値上げ予想の算出方法の詳細は記述されていないが,上記の他に,2011年度の領域ごとの平均雑誌価格,トムソン・ロイターの引用データベースに収録されたオンライン雑誌の平均価格や,2009年から2011年のLC分類ごとの平均価格の推移やEBSCO Academic Search Premier収録誌の平均価格推移などの調査結果も掲載されている。

参考)A&HCI,SSCI,SCIの2012年度予想価格





by Library Journal
"Periodicals Price Survey 2011 | Under Pressure, Times Are Changing"
http://www.libraryjournal.com/lj/ljinprintcurrentissue/890009-403/periodicals_price_survey_2011_.html.csp

参考)Academic Search Premieの2012年度予想価格





by Library Journal
"Periodicals Price Survey 2011 | Under Pressure, Times Are Changing"
http://www.libraryjournal.com/lj/ljinprintcurrentissue/890009-403/periodicals_price_survey_2011_.html.csp

著作権表示:
これらの表は2011年5月1日付けのLibrary Journal誌において初めて掲載されたものであり,
Media Source Inc.の完全所有子会社である,Library Journals LLCに著作権が帰属しています。
いかなる形式においても再配布することはできません。

copyright notice:
These tables first appeared in Library Journal, May 1, 2011.
Copyright 2011, Library Journals LLC, a wholly owned subsidiary of Media Source Inc.
Not for redistribution in any form.

・Library Journal記事“Periodicals Price Survey 2011 | Under Pressure, Times Are Changing”
http://www.libraryjournal.com/lj/communityacademiclibraries/890009-265/periodicals_price_survey_2011_.html.csp,(accessed 2011-5-19) 

・本誌201号トピックス「アイテムレベルの利用統計」
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=85&dispmid=605

Britannica:Britannica Image Questサービス開始

 ブリタニカ・ジャパンは,2011年6月から,写真や図版など200万点以上を提供する教育機関向け
オンラインサービスBritannica Image Questを開始します。

 Britannica Image Questに収録されている画像素材は,学生のレポート作成や論文執筆,eラーニング用素材,授業用資料,大学のWebサイト,ニュースレターなど,教育目的のあらゆる用途で利用可能です(商用利用はできません)。契約対象は教育機関(大学,短大,高等学校など)のみとなります。

 サービス開始を記念して,ブリタニカ・オンライン・ジャパンまたはBritannica Online School Editionと同時利用で,通常は10%OFFのところキャンペーン期間中(2011年6月〜2012年4月)にご利用開始
いただくと20%OFFとなります。

1ヶ月の無料トライアルも可能です。詳細については,弊社までお問合せください。

Britannica Image Quest
http://quest.eb.com/

Thieme Publishing Group:Science of Synthesis バージョン4.0 トライアルのご案内

 有機合成分野では国際的に著名なリファレンスシリーズである Science of Synthesis の
バージョン4.0が6月にリリースされます。

 それに伴い,6月中にトライアルお申し込みの場合,9月末まで最長4ヶ月のフリートライアルを
提供します(2ヶ月フリートライアルは随時お申し込み可能です)。

【Science of Synthesis 特徴】
 Science of Synthesisは,有機合成分野では国際的に著名なリファレンスシリーズ
Houben-Weyl Methods in Organic Chemistry (2003年におよそ160巻で完結)を全面改訂した新版です。ノーベル賞受賞者を含む世界的に権威のある研究者が編集責務を負い,実用的でベストな合成方法のみを厳選してフルテキストで提供しています。

【収録件数】
合成方法:約30,000 【バックファイル収録分 146,000以上】
化学反応:約275,000
化学構造:約1,250,000

【バージョン4.0の特徴】
・新インターフェースにより,さらに直感的な検索が可能
・検索結果は重要度またはScience of Synthesisの記事刊行日順に表示
・フレキシブルな絞込み検索オプション
・パーソナル設定により,検索結果の保存などが可能
・インテリジェントナビゲーション(化学的にロジカルストラクチャーを辿ることができます)
・専門家により厳選されたスペシャリストトピックス(Reference Libraryシリーズ)を収録

 【トライアル】
アクセス認証法 : IPアドレス認証
同時アクセス数:無制限
利用統計データ : Thieme社より提供
2011年6月中にお申し込みの場合2011年9月末まで最長4ヶ月ご利用可能。
それ以外は2ヶ月のトライアル提供となります。

詳細については弊社までお問合わせください。

弊社Thieme紹介ページ
http://www.usaco.co.jp/products/thieme/index.html

JSTOR:JSTOR Mobile(Beta版)サービス開始

 コアな学術ジャーナルのバックナンバーを電子的に提供するプロジェクトJSTORより,
スマートフォンでJSTORを利用できるサービスJSTOR Mobile(Beta版)の提供が開始されました。

 本サービスは契約有無に関わらず誰でも利用でき,Basic searchあるいはAdvanced searchを用いたJSTORの検索や,書誌情報のメール転送が可能です。今後予定されている正式版リリースに向けて,機能の拡充と対応機種の充実を進めていく方針です。現状ではiOS,Android,BlackBerryで利用が可能です。

※最新の利用要件や契約機関ネットワークとの接続の詳細は以下JSTOR Mobile紹介サイトを
ご参照ください。

・JSTOR Mobile(Beta版)
http://mobile.jstor.org/
・JSTOR Mobile(Beta版)紹介サイト
http://about.jstor.org/support-training/help/jstor-mobile-beta

AAAS:モバイルアプリScience Mobileのご案内

 米国科学振興科学協会(AAAS)のモバイルアプリ“Science Mobile”は,現在App Storeなどから
無料でダウンロードすることができます。Science Mobileを利用できる端末はiPhone(3G以降)や
iPod Touch,iPad,Androidです。

 Science Mobileでは,Science,Science Translational Medicine,Science Signaling 3誌の要約や
アブストラクトなどを閲覧することができます。また,毎号の注目記事にハイライトを当てて紹介する
“This Week in Science”や,毎日配信されている一般向け科学記事コーナー“Science NOW”を読む
こともできます。

 通常,AAASとサイトライセンス契約を結んでいる機関に所属している場合には,機関のワイヤレス
ネットワークを通じて,ライセンス対象になっているコンテンツのフルテキストを,モバイルデバイスから閲覧することができます。ただし,Science Mobileからはフルテキストを直接閲覧することはできません。
フルテキストの閲覧を希望する場合には,フルテキストへのリンクをつけたメールをアプリから自分のメールアドレスに送り,そのリンクからフルテキストにアクセスして閲覧します。

Science Mobile
http://content.aaas.org/mobile/

PubMed:My NCBIのインターフェースがリニューアル

 米国医学図書館(National Library of Medicine:NLM)が提供する医学文献データベースPubMedの,個人アカウントサービス「My NCBI」のインターフェースが2011年4月20日から新しくなりました。
 
 従来のMy NCBIでは,検索式や文献リストを保存する際に左側のタブで画面を切り替えて行う必要がありましたが,新しいインターフェースではすべての機能をMy NCBI トップ画面で一覧できるようになりました。

 その他の主な変更点は以下の通りです。

・NCBI全データベースがMy NCBI の検索窓から直接検索可能
・ドラッグ&ドロップで各項目を自由に並べ替えできる機能が追加
・NCBIと共通のヘッダーおよびフッターを付与。ヘッダーからはNCBIの情報源や入手方法説明が閲覧可能。フッターにはNCBIの各リソースへのリンクを表示
・検索式の保存対象がNCBI全データベースに拡大

 その他の詳細についてはNLMホームページをご参照ください。
https://www.nlm.nih.gov/pubs/techbull/ma11/ma11_myncbi_redesign.html

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